不動産投資 セミナーについての記述

一定の地位にある者が一定の関係から重要事実(重要な未公開情報)を知った場合に限って「会社関係者」に該当します(166条1項)。
具体的には、上場会社等(上場会社・その親会社・子会社)の役員等(役員・代理人・使用人その他の従業者)が、その職務に関し知った場合(同項1号)、3%以上の株主が帳簿閲覧権の行使に関し知った場合(同項2号)、上場会社等に対する法令に基づく権限を有する者が、その権限の行使に関し知った場合(同項3号)、および上場会社等の契約先が、契約の締結・交渉・履行に関し知った場合(同項4号)です。
公務員や監査役(子会社調査権を有する)がこれに当たります。
取引先が典型ですが、あらゆる契約が含まれます。
上場会社Aの取引先B社において、A社担当のXが知った情報を、社内のYに職務上伝達した場合には、Yも会社関係者になりますが、Xが社内のZに友人として伝達した場合には、Zは情報受領者になります(同項5号)。
なお、会社関係者として重要事実を知った者は、会社を辞めても1年間は規制の対象となります。
このように会社関係者の範囲は限定的であり、職業または地位ゆえに重要事実に接近しうる者のすべてを捉えてはいません。
たとえば新聞記者やアナリストは、その職業ゆえに未公開の重要事実を人手しうる立場にありますが、発行会社と契約関係がないので会社関係者にはならず、情報受領者になるに過ぎません。
その結果、アナリスト等から情報を伝達された者の取引は不可罰となってしまいます。
会社関係者から情報の伝達を受けた者(情報受領者)も、取引を禁止されます(166条3項)。
レストランの隣の席でたまたま重要事実を聞いた場合には、「伝達を受けた」とはいえないので、情報受領者には当たりません。
情報受領者から情報の伝達を受けた第二次受領者は、取引を禁止されません。
情報受領者に当たるかどうか投資家にとって明確でなければならないと考えられたからです。
しかし、外国にも例を見ない限定の仕方であり、立法論としては適当でないと批判されています。
ただし、情報受領者が法人の役員等であり、その者が法人内で職務上、情報を伝達するときは伝達先も情報受領者と扱われます。
また、XがYを使って会社関係者から情報を聞き出したような場合には、Xが情報受領者と判断されることになるでしょう。
インサイダー取引が禁止されるのは、重要事実が公表されるまでの間です。
重要事実は、有価証券届出書、有価証券報告書、半期報告書、四半期報告書、臨時報告書等に記載されて公開されたとき、2以上の報道機関に対し公開されてから12時間が経過したとき、上場会社から取引所に通知され、取引所のホームページ上で公開されたときの、いずれか早い時期に公表されたことになります。
平成15年改正で導入されたのが、ふつうは一番早い公表措置でしょう。
インサイダーが禁止されるのは、当該上場会社の特定有価証券等に係る売買その他の有償の譲渡・譲受け、またはデリバティブ取引です(166条1項)。
特定有価証券等とは、上場会社の社債券、株券、新株予約権証券などの特定有価証券と、特定有価証券に係るオプション証券などの関連有価証券をいいます(163条参照)。
インサイダー取引は形式犯として構成されており、重要事実を利用して取引したことや、当該取引によって利益を得たことは、インサイダー取引罪の成立要件とされていません。
市場外での売買も禁止の対象です。
ただし、次の取引は、重要事実を知って行ってもインサイダー取引になりません(166条6項)。
株式の割当てを受ける権利の行使、新株予約権の行使、特定有価証券等に係るオプションの行使、株式買取請求権の行使、対象会社の要請による公開買付者等に対抗するための防戦買い、自己株式の取得を授権する決議が公表された後に、自己株式を買い付ける行為通社債の売買、金融商品市場外で行う取引で、売買当事者双方が重要事実を知っている場合、および重要事実を知る前に締結された契約または決定された計画に基づいてする売買です。
これらの適用除外取引には、理論上当然に認められるものと政策的に認められたものが混在しています。
インサイダーが重要事実を伝達し、または重要事実に基づいて取引を推奨することは処罰の対象とされていません。
もっとも、会社関係者XがYに重要事実を伝達して特定銘柄の取引を勧め、Y(情報受領者)が禁止規定に違反して取引を行った場合には、Yのインサイダー取引についてXは教唆・幇助の罪を問われることになるでしょう。
投資家の投資判断にとって重要な情報には、上場会社以外の者を発生源とするもの(外部情報)もありますが、そのような外部情報に接近しうる一定の地位にある者が当該情報を知って証券取引を行うことも、投資家との関係で不公正であると考えられます。
そこで167条は、公開買付け・株式買集めに関する重要事実について、公開買付者・買集め者と一定の関係にある者(公開買付者等関係者)による証券取引を禁止しています。
このことは、公開買付け・株式買集め以外の外部情報によるインサイダー取引は、日本では禁止されていないことを意味します。
たとえば、競業他社に対する免許の付与、政府による特定産業分野の規制強化・緩和、政府の金利・為替政策、証券会社による推奨販売、投資ファンドによる投資の引上げなどの情報に基づくインサイダー取引は、規制の対象と想定されていません。
もっとも、影響を受ける上場会社にとって、「運営、業務又は財産に関する重要な事実」(166条2項4号)に当たる可能性があります。
しかし、その場合も、当該上場会社の会社関係者がインサイダーとして規制の対象になり、情報源との関係で情報を人手しうる地位にある者(公務員など)が規制の対象になっていないという問題があります。
これらのようなマーケットーインフォメーションは上場証券に関する事実であって、上場会社の運営・業務・財産に関する事実とはいえないでしょう。
以下では、公開買付け・株式買集めに係るインサイダー規制のうち、内部情報のインサイダー規制と異なる点について説明します。
「公開買付け等」には、他社株公開買付け・自社株公開買付けと上場株券等の5%以上の買集めが含まれます。
「ある者」が法人である場合には、その業務執行決定機関による決定が必要です。
規制の対象となる公開買付者等関係者は、公開買付者・買集め者の役員・代理人・使用人その他の従業者、取引先などです(同条1項)。
公開買付けや買集めを行う者自身は、公開買付け等に関する重要事実を知っているからといって、対象株券の取得を禁止されることはありません。
重要事実の公表がされたとは、公開買付けの決定または中止決定が公開買付開始公告・公開買付撤回公告・公開買付届出書・公開買付撤回届出書に記載されたこと、公開買付け・買集めの決定または中止決定が、2以上の報道機関に公開されてから時間が経過したこと、自社株公開買付けの決定または中止決定が上場会社から取引所に通知され、取引所のホームページ上で公開されたことをいいます(同条4項)。
したがって、自社株公開買付けではが使えますが、他社株公開買付けでのみと5%以上の株式買集めのみで使えるものに分かれています。
このように、公表手段が限定されていることと、重要事実が投資判断にとっての重要性と無関係に定義されていることから、たとえば、XがA株の買集め決定をしたが資金繰りが付かないので買集めが開始されなかったときや、そもそも現実性のない「買集め決定」たったときでも、買集め決定を知ったYは、いつまでもA株の購入ができない状態に置かれることになるなど、制度の不備もあるように思われます。

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